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R3 問1 寡婦と離婚についての周辺知識
厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 夫の死亡により、厚生年金保険法第 58 条第 1 項第 4 号に規定するいわゆる長期要件に該当する遺族厚生年金(その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が 240 以上であるものとする。)の受給権者となった妻が、その権利を取得した当時 60 歳であった場合は、中高齢寡婦加算として遺族厚生年金の額に満額の遺族基礎年金の額が加算されるが、その妻が、当該夫の死亡により遺族基礎年金も受給できるときは、その間、当該加算される額に相当する部分の支給が停止される。
B 昭和 32 年 4 月 1 日生まれの妻は、遺族厚生年金の受給権者であり、中高齢寡婦加算が加算されている。当該妻が 65 歳に達したときは、中高齢寡婦加算は加算されなくなるが、経過的寡婦加算の額が加算される。
C 2 以上の種別の被保険者であった期間を有する者について、 3 号分割標準報酬改定請求の規定を適用する場合においては、各号の厚生年金被保険者期間のうち 1 の期間に係る標準報酬についての当該請求は、他の期間に係る標準報酬についての当該請求と同時に行わなければならない。
D 3 号分割標準報酬改定請求は、離婚が成立した日の翌日から起算して 2年を経過したときまでに行う必要があるが、 3 号分割標準報酬改定請求に併せて厚生年金保険法第 78 条の 2 に規定するいわゆる合意分割の請求を行う場合であって、按分割合に関する審判の申立てをした場合は、その審判が確定した日の翌日から起算して 2 年を経過する日までは 3 号分割標準報酬改定請求を行うことができる。
E 厚生年金保険法第 78 条の 14 に規定する特定被保険者が、特定期間の全部をその額の計算の基礎とする障害厚生年金の受給権者であったとしても、当該特定被保険者の被扶養配偶者は 3 号分割標準報酬改定請求をすることができる。
C
一肢ごとの詳しい解説
未亡人と離婚後の年金分割についての問題です。夫亡き後、または離婚後の年金額の変化に着目したような、シングルマザーや熟年離婚を見据えた問題のようにも見えますね。
A 夫の死亡により、厚生年金保険法第 58 条第 1 項第 4 号に規定するいわゆる長期要件に該当する遺族厚生年金(その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が 240 以上であるものとする。)の受給権者となった妻が、その権利を取得した当時 60 歳であった場合は、中高齢寡婦加算として遺族厚生年金の額に満額の遺族基礎年金の額が加算されるが、その妻が、当該夫の死亡により遺族基礎年金も受給できるときは、その間、当該加算される額に相当する部分の支給が停止される。 ×
中高齢寡婦加算 として、加算されるのは遺族基礎年金の額 × 4分の3 です。 満額 となっている部分を見落とさないように気をつけましょう。
B 昭和 32 年 4 月 1 日生まれの妻は、遺族厚生年金の受給権者であり、中高齢寡婦加算が加算されている。当該妻が 65 歳に達したときは、中高齢寡婦加算は加算されなくなるが、経過的寡婦加算の額が加算される。 ×
経過的寡婦加算の対象となる妻は 昭和31年4月1日以前生まれの妻です。
3141経過寡婦みたいな感じで覚えている人も多いでしょうか。 ちなみに4141振り替え加算です。間違えないように覚えて、事例問題で判断できるようになりましょう。
C 2 以上の種別の被保険者であった期間を有する者について、 3 号分割標準報酬改定請求の規定を適用する場合においては、各号の厚生年金被保険者期間のうち 1 の期間に係る標準報酬についての当該請求は、他の期間に係る標準報酬についての当該請求と同時に行わなければならない。 ○
ココ最近の出題に、合意分割や3号分割の出題が増えているのは、離婚率の上昇などがあり、実務的に被保険者期間の分割が行われるケースが増えているので、周辺知識について問われることが増えているようです。
この設問的には3号分割は対象期間に2以上の被保険者期間があれば、全部いっぺんに請求ですよ、全部分割の対象ですよってことです。
D 3 号分割標準報酬改定請求は、離婚が成立した日の翌日から起算して 2年を経過したときまでに行う必要があるが、 3 号分割標準報酬改定請求に併せて厚生年金保険法第 78 条の 2 に規定するいわゆる合意分割の請求を行う場合であって、按分割合に関する審判の申立てをした場合は、その審判が確定した日の翌日から起算して 2 年を経過する日までは 3 号分割標準報酬改定請求を行うことができる。 ×
3号は離婚をした日の翌日起算で2年はOK、では合意分割で裁判で按分割合を争ったりしている場合は審判確定から6ヶ月以内という特例扱いとなります。2年なのは離婚からの期間です。
E 厚生年金保険法第 78 条の 14 に規定する特定被保険者が、特定期間の全部をその額の計算の基礎とする障害厚生年金の受給権者であったとしても、当該特定被保険者の被扶養配偶者は 3 号分割標準報酬改定請求をすることができる。 ×
障害厚生年金の受給権者において、受給を受けている障害厚生年金の額の計算の基礎になった特定期間の被保険者期間は、分割の対象から除かれることとなっています。
よって、すべての期間が障害厚生年金の計算の基礎となっているケースでは、3号分割請求はできなくなってしまいます。
障害厚生年金を受けている、のなら、その額の算定の基礎となった期間は支給するのに期間をつかった、とも言えるんで、分割したりはしないよってイメージでしょうか。
今回の問題は、未亡人の年金の推移や変化と、離婚に当たっての被保険者期間の扱いについてのルールなどの確認となります。
シングルマザーや熟年離婚者に的確なアドバイスができるようにがんばりましょう。
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