令和3年 労一・社一 第3問解答解説

労一・社一

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R3 問3  労働契約法などについて

 労働契約法等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 労働契約法第 7 条は、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」と定めているが、同条は、労働契約の成立場面について適用されるものであり、既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されない。

B 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合について定めた労働契約法第 10 条本文にいう「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情」のうち、「労働組合等」には、労働者の過半数で組織する労働組合その他の多数労働組合や事業場の過半数を代表する労働者だけでなく、少数労働組合が含まれるが、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体は含まれない。

C 労働契約法第 13 条は、就業規則で定める労働条件が法令又は労働協約に反している場合には、その反する部分の労働条件は当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約の内容とはならないことを規定しているが、ここでいう「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、政令及び省令をいい、罰則を伴う法令であるか否かは問わず、労働基準法以外の法令も含まれる。

D 有期労働契約の更新時に、所定労働日や始業終業時刻等の労働条件の定期的変更が行われていた場合に、労働契約法第 18 条第 1 項に基づき有期労働契約が無期労働契約に転換した後も、従前と同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは差し支えないと解される。

E 有期労働契約の更新等を定めた労働契約法第 19 条の「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよい。

B

一肢ごとの詳しい解説

ほぼ、毎年出題されると言われている労働契約法関連の出題。ほぼ毎年出るし、労働基準法でも関連した論点は出てくるし、実務上でも結構大事な法律ですね。

A 労働契約法第 7 条は、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」と定めているが、同条は、労働契約の成立場面について適用されるものであり、既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されない。 ○

就業規則と労働契約の締結、どっちが後か先か、それによっての適用の有無についてです。細かな論点かもしれませんが、まぁ、一応一般的にと言うか、常識的に、就業規則ない時点での労働契約、口約束でも、そっちが優先で、後から就業規則でやっぱ就業規則の条件で!と当たり前に契約内容の変更にはならん、てことです。就業規則の全従業員への拘束力を想像しがちな出題文ですが、今回のこの問題の論点はそこではないのでご注意を。

B 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合について定めた労働契約法第 10 条本文にいう「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情」のうち、「労働組合等」には、労働者の過半数で組織する労働組合その他の多数労働組合や事業場の過半数を代表する労働者だけでなく、少数労働組合が含まれるが、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体は含まれない。 ×

親睦団体など広く含めることになっているので誤り。

画像クリックで厚生労働省HP:就業規則などPDF

親睦団体と言うことで、労働組合でなくても交渉の経緯などを考慮することになります。

C 労働契約法第 13 条は、就業規則で定める労働条件が法令又は労働協約に反している場合には、その反する部分労働条件は当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約の内容とはならないことを規定しているが、ここでいう「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、政令及び省令をいい、罰則を伴う法令であるか否かは問わず労働基準法以外の法令も含まれる。 ○

このままの文章で労働契約法のあらまし厚生労働省PDFとして、アップされています。労働契約法は、平成20年3月から施行され、平成24年8月に一部が改正されましたもので、制度の周知や基本的な考え方などを解説しています。こういった手引きや案内などから抜粋して択一式、選択式で出題されることも多いので一般常識科目は大変なんですよね・・・まぁ、社労士的には一般常識レベルで押さえておけ、ってことでしょう。

D 有期労働契約の更新時に、所定労働日や始業終業時刻等の労働条件定期的変更が行われていた場合に、労働契約法第 18 条第 1 項に基づき有期労働契約無期労働契約転換した後も、従前と同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは差し支えないと解される。 ○

基本的に別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一となりますが、別段の定めをすることにより、変更可能となっています。ご存じですか?「無期転換ルール」(点検票)~あなたの会社の状況をチェックしてみましょう~ 手引きの中にあります。

無期転換後に労働日や労働時間をちょいちょい変えるような条項は有効なのか? 有効なんですよね。不規則な休み、不規則な勤務時間の変更というと、なんとなくブラックな感じに思ってしまいますが、そういう働き方の人材も必要だったりします。かと言って経営者は労働条件によりますが、好き勝手にシフトを何とかできるとは思ってはいけないので注意しましょう。やり過ぎると退職者が激増しますので・・・

E 有期労働契約の更新等を定めた労働契約法第 19 条の「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよい。 ○

更新の申し込みをしたか、していないのかが争点になると言うこともあるので、反対の意思表明:例:「辞めたくないんすけど」 と言うセリフで以って良いと言うことになります。 辞めたくないってだけで、更新の申し込みをしていない、という揚げ足取りのようなことは認めず、労働者側に寄り添った見解が正しいってことになりますね。有期契約労働者が雇止めに対し異議を表明したと客観的に評価できれば、それで足りるものと考えられると言うことです。

労働契約法のあらまし厚生労働省PDF 参照です。

労働契約の細かい部分については、実務上・コンサル的に使える、活用できる部分もあります。いわゆる、経営者や人事担当者との話のネタ・ツカミのトークにしやすいってことです。規定や、その経緯などをスラスラ話せたら、それだけでも信用度は増します。ただ、それは情報が正確でなければいけないので、普段の学習でも正確さを意識しましょう。

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