令和3年 労一・社一 第9問・社会保険制度の目的条文

労一・社一

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R3 問9  社会保険制度の目的条文

社会保険制度の目的条文に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 国民健康保険法第 1 条では、「この法律は、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行い、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」と規定している。

B 健康保険法第 1 条では、「この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」と規定している。

C 高齢者医療確保法第 1 条では、「この法律は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もつて国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする。」と規定している。

D 船員保険法第 1 条では、「この法律は、船員又はその被扶養者の職務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行うとともに、労働者災害補償保険による保険給付と併せて船員の職務上の事由又は通勤による疾病、負傷、障害又は死亡に関して保険給付を行うこと等により、船員の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」と規定している。

E 介護保険法第 1 条では、「この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。」と規定している。

一肢ごとの詳しい解説

ページをまたいでの超長文問題の目的条文の間違い探し。本試験的には一般常識の択一は、試験攻略法として後回しでやる人も居れば、労基から順番にやっていく人もいて、順番通りにやっていくと、折り返しくらいのところ、その第9問でこのボリューム。メンタル持ってかれるし、脳の疲労を加速させてくれやがる。しかも、まさかの目的条文の択一って!となるところ。Aが怪しいかな?でもそれっぽいかな?と思って決めきれず、結局全部読んで文の細かな部分が引っかかって時間使っちゃう面倒な問題でした。

A 国民健康保険法第 1 条では、「この法律は、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行い、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」と規定している。 ×

まさかの、しょっぱなで間違いでした。しかし、文章はなんとなくあってるっぽい感じです。なんとなく変だな、でも間違っていることを言っている感じでもないかな?と思ってみてみると、なんと前半が間違いAND第2条の条文をブレンドって中々の合成した目的条文という…

第一条 この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。

第二条 国民健康保険は、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行うものとする

国民健康保険の目的条文の第2条と、第1条の後半をブレンドしているのが解るでしょうか?間違ってない風に見えても仕方がなかったように思います。よって、B以降で間違い探しをし始めた人も多いことでしょう。

B 健康保険法第 1 条では、「この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」と規定している。 ○

業務災害以外のものに給付、アレ?二次健康診断は?とか迷ったりしたかも?二次検診は労災で、定期健診などは保険事業でやってないこともないけども、Cとか見た後だと検診が気になったりしますが、第1条の目的には来ていません。

国民の生活の安定と福祉の向上 ってのもあってる?と知識の定着が甘ければ迷ったかも。

C 高齢者医療確保法第 1 条では、「この法律は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もつて国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする。」と規定している。 ○

国民の共同連帯、 前期高齢者に係る費用負担の調整国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的って流れであってたっけ?なんか他の目的条文と混じって無いっけ?と思って迷わないように、復習をする時は全体の流れと細かな文言をしっかり確認しましょう。

D 船員保険法第 1 条では、「この法律は、船員又はその被扶養者職務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行うとともに、労働者災害補償保険による保険給付と併せて船員の職務上の事由又は通勤による疾病、負傷、障害又は死亡に関して保険給付を行うこと等により、船員の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」と規定している。 ○

船員保険法は、適用される方が減ってはいるものの、労災と健康保険を密に掛け合わせたものと覚えておきましょう。補償は船員保険の方が手厚いと言うのも覚えておきましょう。 生活の安定と福祉の向上に寄与 と言うのも大事。日本は島国だから、かつて漁業が盛んで船員が多かったり、貿易などで船で輸出をしていたりで船員が多かった時代があり、海難事故も今よりも多く、リスクが高いものの日本を支える大事な産業ゆえに、そこで働く方は手厚く遺族も補償しようとするスタンスだった、とイメージしながら行方不明手当てとかあるよな~とか産休とか条件違う(6週間前でなくて即時休業で出る)よな~と覚えておきましょう。

E 介護保険法第 1 条では、「この法律は、齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。」と規定している。 ○

Cの高齢者医療確保法と同じように 国民の共同連帯国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする と出てくると、どちらか間違っているのでは?と迷いがち。ですがこの設問は正しいし、Cも正しい。

高齢者医療確保法と介護保険法は、対照とするものが、高齢・介護状態と重なる部分があり、医療費の適正化に主軸を置くのは高齢者の医療を確保するため、と言うのと、介護リハビリ状態でも尊前のある生活を送らせよう、そのための地域環境や設備を整えていこうぜ!というのが介護保険法の目的で、どちらも国民の共同連帯が必要だと言うことです。

この問題は、全体的に長文の目的条文が多く、その内容を正確に覚えておかねばならず、しんどい設問ばかりだったと思います。

Aだって、一見間違ってない感じに思えるのは、条文から持ってきた文言を正しい内容を間違った組み合わせにしたから違和感を感じつつも見過ごした可能性も。

令和4年・第54回試験においては、選択式で抜かれてもおかしくないような問題でもあり、復習するときは、正しい選択肢のところも読み上げる・目を通して一読しておくと勉強としては有効かもしれません。

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